このサイトで『日常会話例文や勉強方法に関する質問をお受けします』ということを書いているので、色々な人から質問を受けますが、面白いのは一度に違う人から同じような内容の質問や相談を受け取るということです。不思議なことなのですが、何度もこういうケースがあります。

 

先週から今週にかけてもこのようなことがありました。数人の方からメールを頂いたのですが、共通していたことは外国の人が日本語を学んでいる姿をそばに見ていた経験があること、その上達度のあまりの速さに驚いているということでした。

そして、もう一つ、彼らと比較して「私はいくら英語を勉強しても話せるようにならない。頭が悪いんだなあ」と自分の能力に自信を失っているということでした。

 

私も似たような経験があります。留学していたとき、当時は(今でもかもしれませんが)日本が大ブームで、大学で日本語を学んでいる学生が大勢いました。当然のごとく、日本人である私は彼らから歩く参考書のような扱いを受け、質問攻めに合っていました。

 

そのときに驚いたのですが、全く日本語に触れたことのない人でも1ヶ月もすれば、それなりに日本語を話せるようになっていました。特に日本語を聴き取ることに関しては問題ないくらいのレベルに達する人も結構いました。

そのときは彼らの上達度を見て「10年近くも英語を勉強しているのに話せないオレって何?」みたいな気持になったことがあります。ただ、今ではそのようなことは全くありません。

 

それなりの理由があることを知ったからです。

 

その理由なのですが、日本語が世界中に存在する言葉の中でも特殊なコトバであるということを知っていますか?私も詳しい話は分からないのですが日本語って必ず母音(a・i・u・e・o)がつきますよね。例えば「か」は「ka」だし、「せ」は「se」です。でも、これって日本語ともう一つミクロネシアかポリネシアか忘れましたが、南太平洋に住む少数民族のコトバだけだそうです。

 

言われてみればそうなのですが、英語って「s」とか「t」のように母音がつかない音もあります。でも、日本人はそんなことは知らないですから全く聴き取ることが出来ないわけです。

 

これが、日本人が英語というか外国語を覚えようとするときに苦労する理由です。

 

一方で外国人にとっては、自分の母国語にない音でも、例えば「se」は単純に「s」と「e」の組み合わせですから、すぐにパターンを覚えられます。多分、日本人が方言を覚えるような感覚なのだと思います。

ちなみに話がそれますが、日本人が話す英語が通じないのもこれが原因です。アメリカに行って「マクドナルド」と言ってみたが通じなかったと言う話をよく聞きますが、英語では「Ma-k-do-na-l-d」と発音します。ちょっと違っているかもしれませんが「k」・「l」・「d」と母音がない音があるというのがポイントです。

 

日本人の場合、これを「ma-ku-do-na-lu-do」と母音を余計につけてしまっています。これが、どれだけ変なことになるかというのは、日本語で考えてみれば一目瞭然です。例えば「マクドナルド」に余計な母音をつけてみるとどうなるでしょうか?

 

「マクエドウナルドイ」何がなんだかさっぱりです。まずこれを聴いて「マクドナルド」を連想できる人はいないと思います。

 

ところが、日本人は英語でこれをやっています。だから通じないわけです。聴き取りの場合でも、日本人は「マクドナルド」を「マクエドウナルドイ」と覚えているようなものですから、外人さんが「マクドナルド」と発音したときに、さっぱりわからないわけです。

 

この話って、初めて耳にする人も多いのではないでしょうか?

 

最近では「発音が出来なくて・・・」という人も増えましたが、単純になまっているなあぐらいにしか感じていないのではと思います。でも、そんな次元の話ではありません。もっと根本的な問題です。

 

思いっきり話がそれましたが、何を言いたいかというと、外人さんが日本語を覚えるのは、かなり簡単だということです。ですから、彼らが日本語をあっという間に話せるようになるのを見て、落ち込む必要はありません。当然のことなんです。

 

彼らが能力的に優れているというわけではないというのは、日本語を読めるようにはなかなかならないということからもわかります。52個しかない平仮名だけでも、覚えるのに苦労しています。もし、能力が優れているのであれば、簡単に覚えられると思いませんか?

 

ただ、こんなことがわかってもあなた自身が英語を覚えられるようにならないと意味がないですよね。

 

でも、その方法はあります。英語の発音を勉強して仕組みを理解することです。

 

難しいように感じるかもしれませんが、そんなに難しいことはありません。たかだか、40音ちょっとです。しかも母音がつく音に関しては日本語と同じですから母音がつかない音(子音)だけをチェックすればいいだけです。本屋さんへ行けば分かりやすく解説してある本がたくさんありますので、それで勉強してみてください。

 

発音の勉強はかなり楽しいです。自分の話す英語がどんどんネイティブに近くなってきますから面白くて仕方がないですよ。そして、音が理解できるようになれば、記憶力をよくなります。何度も耳にするコトバっていつの間にか覚えてしまいますよね。それと同じことが英語でもおきるようになります。

 

一応HPに幾つか、オススメの本を紹介してあるので参考にしてみてください。

http://w117.d.fiw-web.net/pronounciation/index.htm

それにしても、なぜ日本の学校教育で発音をキチンと教えないのか不思議です。一番最初にやっておけば、これほど苦労することはないと思うのですが・・・

 

最後にもう一つ、外人さんが日本語を覚えるのが速い理由があります。それは単純にヤル気です。日本人みたいに「覚えなければいけないから」という理由で日本語を覚え始める人はいません。

 

明確な目的を持って自分で決意して始めていますから、熱意を持って取り組みます。ですから当然のごとく覚えも早いわけです。

 

なかには必要に迫られてという人もいますが、その場合でも必要性を自分でしっかりと納得していますから本気で取り組めます。

 

日本では「これから国際社会だから」、「英語は必要になってくるから」、「英語が話せると有利だから」という理由で英語を覚え始める人が少なくありませんが、殆どの人はそのコトバを自分で納得していないと思います。

 

ただ単純に周りがそういっているからぐらいの感覚ではないでしょうか?

 

そんなことはないと思う人も多いと思いますが、本気で英語の必要性を理解するのは、日本ではかなり難しいことです。普通に生活していれば、まず困らないからです。仕事で必要だからということでも、普段日本語で業務をしていて、海外の取引先とやりとりがあるので、毎日1時間ぐらい英語を使うというぐらいのレベルでは本当に真剣にはなれないですから。

 

私はこの真剣さの部分のほうが大きな影響があるのではと思いますが、いずれにしても能力の問題ではないということです。そもそも、コトバを喋れるようになるのに、能力は必要ないはずです。

 

身体によっぽどの障害がない限り、誰でもコトバは普通に話せるのですから。やっぱり、能力は関係ないと思います。