大部分の日本人は中学校で3年、高校で3年の6年間英語を勉強します。6年間も勉強しているのだから、少しぐらい英語を話せてもいいようなものですが、現実は全く話せないといったほうがいいくらいですから、日本の英語教育は非難の的となっていますし、学校で学んだいわゆる学校英語は役立たずの代名詞のように扱われています。
その反動なのか、学校英語を否定するような謳い文句を耳にすることがあります。そのなかの一つが「文法を勉強する必要ない」というものです。
「文法なんか知らなくてもコトバは話せる!」、「ネイティブだって英語を話すときに文法を気にしていないよ」、「文法を知らない小さな子供だって話せるじゃないか」だいたい、このようなことが理由としてあげられていますが、私はこうした意見には賛同できません。
コトバというのは単語の組み合わせで構成されています。パズルのピースのように、一つだけでは意味をなさない単語を正確に並べることによって初めて、一つのコトバとして通用します。
例えば「私/は/英語/を/勉強/して/います」というように並んでいるわけです。でも、これが「英語/して/私/います/を/は/勉強」というように順番を変えたらさっぱりわけがわからなくなります。
その大切な順番を指示してくれるのが文法です。文法の知識なしではコトバを操るのは不可能です。
ネイティブは文法を気にしていないというのは間違いではありません。でもそれは文法をしらないというわけではありません。本当に自分の知識として定着しているから気にする
必要がないだけです。子供の例もそうです。
文法を身につけていることを本人が自覚していないだけです。決して知らないわけではありません。
また、子供の例をとって、「英語を耳にしていれば文法が自然に身に付く、だから、勉強する必要はない」という意見もあります。これは本当です。子供はそうやって、自然と文法知識を身につけています。
しかし、だからといって日本人の大人が真似できることではありません。私達は既に日本語という文法を身につけてしまっています。ここに新たに別の文法を入れようとするのは大変です。
それに加えて、圧倒的に時間が足りません。当たり前の話ですが、ネイティブの子供は1日中、英語に浸っています。それでも、英語を自分のモノにするのに数年かかるわけですから、勉強時間が1日数時間という私たちが同じことを真似するのは不可能です。
「英語を聴き続けることによって文法を身につける」というのは楽な方法ですが非常に非効率的で時間を必要とします。時間をとれない日本人には無理な方法なのです。
結局、学校の授業でやるような、参考書を読んで覚えて、問題集を解いて確認する、というやり方が一番です。実際、1日2時間程度でも、3ヶ月ぐらい集中的に勉強すれば文法の知識はかなり身につきます。幸いにも文法に関しては、日本の学校のやり方は正しいということです。
では、私は文法が苦手という人はどうすればよいか?答えは簡単です。わかるところまで戻って、そこから勉強をやり直すだけです。それだけで、自分で思っていたより早く理解できるようになるでしょう。
文法は知識の積み重ねです。1段目をマスターしていなければ、どんなに頑張っても2段目や3段目はマスターできません。だから、理解できるところから一つずつ着実に積み重ねていってください。
どこから理解できないのか、それさえもわからないという人は初めから、全てやり直してみてはどうですか?
文法は英語をマスターするためのパスポートのようなものです。はやく手に入れてください。そしてはそれは決して難しいことでも、時間がかかることでもありません。