先日、ヤフーニュースを見ていたら、TOEFLが大学受験の条件となることを自民党の教育再生実行本部が検討しているという記事を見つけました。一定のスコアを取得しないと大学を受験出来なくなるという制度を考えているようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20130325-00000047-nnn-pol

 

TOEFL

 

また、公務員の採用にもTOEFLのスコア取得を義務づけることを検討しているということです。提言案は安倍総理に提出されるということですが、これが現実となれば、嫌でも英語を勉強しなければならなくなります。

 

これで日本人全体の英語力アップが図れるという意図なのでしょうが、けっこう疑問に感じます。こんなことをしても、たいして効果がないような気がします。

 

TOEFLもテストなので、幾らでも抜けがある

 

それはTOEFLも所詮はテストだからです。TOEICやTOEFLのような語学系の資格試験を受けたことがある人ならば分かると思いますが、正解するコツを身につければ、スコアを上げることは簡単です。

 

私自身、昔TOEICを受けた時、回答テクニックを覚えたら、たった3ヶ月でスコアが600から730までに伸びた記憶があります。600と730って相当です。普通、3ヶ月勉強するだけで達成出来るような上げ幅ではありません。

 

正確には、初めて受けたときにも、730ぐらいのスコアを取る実力があったと考えたほうが適切なのですが、そんな人間でも問題に慣れていなければ100以上もスコアが落ちるわけです。

 

逆に言えば、回答テクニックを身につけるだけで、実力以上のスコアを取得することも可能なわけです。

 

これはTOEFLも一緒です。多分、大学受験のためにTOEFLを受けなければいけないとなれば、効率的に高スコアを取るための受験ノウハウといったものが開発されて、対策本が販売されたり、予備校がはやったりといった状況になるのではと思います。

 

こういった制度の導入を検討する目的は語学力向上のはずですが、この本来の目的からズレた状況になるような気がします。

 

そんなことをするより、日本人が英語を話せるようになるには、どんなふうに勉強すればいいのか、今の英語教育を根本から見直して整備したほうがいいと思います。

 

英語教育の必要性を考えるべき

 

その前に、そもそもの話となるのですが、日本人が全員、本当に英語を話せるようになる必要があるのかどうかということを考えるべきだと思います。

 

こういった提言がされるのは、日本人の英語力が低いからです。実際、大半の日本人が英語を話せない状況ですが、だからといって、それで困っている人ってあまりいません。せいぜいが海外旅行にいったとき、不便になるぐらいです。

 

仕事の現場で必要となるケースも増えてきていますが、それも日本全体でみたら、ほんの一部です。全員が必要?と考えてしまいます。

 

英語を覚えたとしても、一生活用する機会に遭遇しないという人も少なくないのではと思います。

 

私は英語が出来ることで、自分が得をしていると実感しているので、『英語を話せるようになったほうがいい?』と言われたらYESと答えますが、だからといって強制されるものではないとも思います。

 

英語なんて嫌だ、必要ないという人間に無理強いさせなくてもいいのではと感じます。語学を習得するには膨大な時間がかかるので、必要性のない人に取り組ませるのはムダです。その時間を違う勉強に使ったほうが効率的です。

 

スキルというのは本人が必要性を感じたら、習得するために自然に学び出します。

 

たとえば、英語を話せる人は正社員として雇用されて年収800万円、英語が話せない人は非正規雇用で年収400万円がMaxなんて時代になったとしたら、わざわざ国が言わなくても、みんな勝手に英語を勉強するようになるのではないでしょうか。

 

最近、アジアに遊びに行くと観光地で働く人って、みんな英語が上手です。それで、『最近は、アジアはどの国の人も英語を話せるんだな。日本は遅れている・・・』と思っていると、これが大間違い。

 

ちょっと観光地から離れたところに行くと、誰一人英語を話せなかったりします。結局、英語を話すことで得するからそうしているということで、そんなものです。

 

学びたいという人に学んでもらえば、それでいいのではという気がします。

 

たしかに、英語を話せる人材って多いに越したことはないので、意欲のある人に対して学びの場を用意することはしたほうがいいとは思いますが、やりたくない人も含めて全員強制というのは、あまり意味がないような気がします。

 

外国語が出来なくても立派な人って、世界中、どの国にもいるような気もしますし・・・ でも、流れとしては、こんな方向に行くのかなという気がします。

 

勉強法などとは違いますが、最近の英語に関するホットな話題ということで、ちょっと触れてみました。TOEFLが身近な存在になるのかもと思うと、昔留学するために必死で勉強していた人間としては、そんな時代が来るのかと不思議な気分です。