今週、ある男性の方にお会いしました。もう80歳近い方なのですが、1970年代に営業マンとして、単身ニューヨークへ乗り込んだ経験を持つ方です。
乗り込んだといっても、そのとき海外旅行の経験もなければ、アメリカのこともよく知らない、おまけに英語も殆ど喋れず、最初は紙に書いた言葉を棒読みしていたそうです。
その方は、最後には英語も覚えて、契約をどんどん勝ち取るまでになったのですが、そのなかで学んだ英語を話すコツというのがとても興味深いので、今日はそのことをご紹介します。
その方(Yさん)は、最初は英語についてはかなり適当だったようなのですが、さっぱり上手くいかず、やはりキチンと勉強する必要があると気づき、滞在先の近所に住むおばあちゃんから英語を習い始めたそうです。
そのレッスンのなかで、最初にYさんが注意されたのは『分からないときには分からないと言いなさい』だったそうです。
Yさんはそのとき、相手の言っていることが分からなくてもとりあえず、頷いていました。これは知ったかぶりというより、話を聞くときの癖だったそうですが、いずれにしても、これでは相手に誤解されます。
『分からないときは、そのことを意思表示しなければ
コミュニケーションは成立しない』
考えてみれば当然のことですね。
ここで、Yさんはおばあちゃんから『I don’t get you.』『Please speak slowly.』というような言い方を幾つか教わったそうですが、それ以来アメリカ人と話すとき、ほぼ毎回使っていたようです。
それから、もう一つおばあちゃんから注意されたことは『相手の目を見なさい』ということだったそうです。
これについては、『lookするのではなく、watchしなさい』という言い方をされたそうですが、要は相手に注意を向けなさいということだと思います。
これも何気ないことですが、重要なことです。日本人の想像以上にアメリカ人は相手の目を見る、見ない、ということを気にします。相手の目を見ずに会話をすることは、真剣さを疑われることにつながるので、忘れてはいけないことです。
ここまで読まれてお気づきの方も多いと思いますが、英語そのものよりも、相手に対する接し方についてのアドバイスが主になっています。
多分、コトバに関するアドバイスもたくさんあったと思いますが、Yさんにとって、印象深いのはこういったアドバイスということです。それだけ役に立ったということではと思います。
私は何となくその理由が分かります。
『分からないときは分からないと言う』、『相手の目を見る』この二つは何気ないことですが、相手と真剣に意志の疎通を図りたいのかどうかが、はっきり分かることです。
例えば、相手のことを本当に理解をしたいのであれば、分からないことをうやむやにすることなど出来ないはずです。従って、自然に『分からない』という言葉も出てくるようになります。
同様に、相手に対して真剣であれば、自然と目線は相手のほうにいきます。日本人同士であっても相手の目を見る頻度は多くなるものです。相手の目を見続けるというのは慣れが必要かもしれませんが・・
つまり、こういったことを身につけたYさんは、相手からすると自分と本当にコミュニケーションをとりたいんだと思われる存在になったのではと思います。そうなると、相手も真剣になりますから、結果的に会話も上手くいったのだと思います。
単純なことですが、実際に会話をする場合、相手に話を聞いてもらわなければどうしようもありません。英語を口にすれば、無条件に耳を傾けてもらえるのは、英会話スクールぐらいなものです。
そういった意味で、『あなたと会話をしたい』という気持ちを伝えられるこういったやり方は、身につけておいたほうが賢明です。こういったことは、意識次第ですぐに身につきますから、すぐにでもやっておきましょう。必ず、いい結果を生むはずです。