私は昔、外資系の会社で働いていたことがあります。製薬会社と車のパーツを製作する会社です。

 

どちらもイギリスに本社があるグローバル企業で、私はいずれの会社でも、工場でグループ内の他国の工場と原材料や完成品の輸出入スケジュールを管理する仕事をしていました。一言でいえば、貿易・物流といった仕事です。

 

職種がら、日本人よりも外国人とやりとりをする時間のほうが長い職場でしたが、同じ部署で勤務する日本人スタッフ全てがビジネス英語に堪能というわけではなく、どちらかと言うと苦手にしている人が多かったです。

 

そのため、自然と英語が苦手な日本人スタッフをフォローする立場になったのですが、その経験から言うと、英語でやりとりをするのを苦手としている人は、大きく分けて2つのタイプに分かれます。

 

1つは英語で文章を書くのが苦手という人。海外とのやりとりはメールやFAXが基本となります。参考資料や契約文書の作成といったことも含めて、英語を書くというのは全ての仕事の土台になるのですが、英文を書けないということで悩んでいるスタッフは少なくありませんでした。

 

もう1つのタイプは、英語を書くことは出来るけど、交渉やプレゼンテーションが苦手、あるいは会議でネイティブ同士のやりとりが聴き取れず、理解できないまま議題が進んでしまい、意思疎通がうまく図れないという人です。

 

英語のスキルでいえば、前者はライティングスキル、後者はスピーキングスキル・リスニングスキルに難があるということになります。

 

もちろん、両方苦手な人もいますが、それぞれスキルアップするための勉強法は違ってきます。そこで、それぞれのタイプごとに勉強法をお伝えします。

 

●ビジネスメールや文書の書き方を学びたい人向け
ビジネス英語勉強法:ライティングスキル

 

●交渉やプレゼンの技術、MTGでのやりとりができるようになりたい人向け
ビジネス英語勉強法:スピーキング・リスニングスキル

 

ビジネス英語は職場が最高の学習素材

 

仕事で使えるだけの語学力を身につけようとする場合、参考書や教材を使った勉強も大切ですが、仕事を通じて学ぶという意識を持つことも重要です。

 

現場でしか学べないことも、たくさんあるからです。

 

たとえば、『First in, first out』という表現があります。

 

日本語に訳すと『先入れ先出し』となります。これは製造業でよく使われる表現です。 製造業の世界では、部品や材料、原料等、最初に作ったもの、入荷したものから使うというルールがあります。

 

食べ物にたとえれば、賞味期限の早いものから使おうというような感じになりますが、製造業の部品や材料でも、消費期限というものがあるため、無駄にしないため、こういったルールが存在します。

 

そのルールを英語では『First in, first out』と言いいます。

 

製造業で働く人にとっては当たり前の言葉ですが、この言葉を市販の書籍で学ぼうとしても、まず無理です。参考書や問題集には出てこない言葉だからです。また、辞書を引いても載っていないでしょう。

 

言葉には、こういったものがたくさんあります。言葉は生き物ですから、状況に合わせて、どんどん新しいものが生まれます。 とてもではありませんが、辞書や学習書で全てカバーすることはできません。

 

そのため、こういった学習素材というのは、あくまでも一般的な表現を扱うにとどまります。

 

ビジネス英語でも、それは同様です。

 

業界用語や専門用語というのは、基本的に守備範囲外です。しかし、実際の現場では、そういった表現に精通することのほうが重要です。 逆に参考書に登場するような表現というのは、知らなくてもどうにかなったりします。

 

そういった意味で、真の意味で通用するビジネス英語を身につけるには、実際の現場において、仕事を通じて学ぶことが重要なのです。

 

社内で使用される書類、同僚・取引先からのメール文、契約書、発注書、会議の議事録、etc こういったものこそが活きたビジネス英語を学ぶうえでの格好の学習素材です。

 

仕事の現場で通用する語学力を身につけようとするときには、市販の学習素材だけでなく、実際に仕事のうえで使用する文書等を役立たせる意識を持っておきましょう。

 

地道に英語の基礎力を鍛えつつ、毎日の仕事を通じて、専門用語・業界用語に精通する。これがビジネス英語をマスターする秘訣です。