TOEIC800というスコアを持っている人の実力は、どんなもの?
英語を勉強している人にとって気になるところだと思いますが、現実的な話をすると、実践力という意味ではまだまだのレベルです。とは言っても、これでは分かりづらいので、よく聞く疑問に答える形でまとめてみます。
TOEIC800をクリアすると、映画を字幕なしで見れるの?
まず無理です。
TOEICで満点を取ったとしても難しいと思います。TOEICのリスニングテストに出てくるような英語と実際にネイティブが話す英語には大きな違いがあります。スピードもそうですが、それ以上に、発音に人それぞれ特有の癖があったり、不明瞭だったりするので、聞きづらくなります。
TOEICに出てくる英語は、言葉を明瞭に話せるようにトレーニングしたアナウンサーが話すような言葉です。ですから、TOEIC800をクリアする人は英語のニュース番組は、かなり聴き取れますが、現実の生活で耳にする英語とは違ってくるので、そこに慣れない限り、聴き取れるようになるのは難しいです。
そもそもTOEICに出てくる英語のほうが特殊と思ったほうがいいでしょう。
でも、日本にいる限り、そういったナチュラルの英語に接する機会は殆どないので、この壁を破るのは大変です。このへんは日本の語学教育の欠点だと思います。普通にネイティブ同士が行っている会話を横で聴き取るようなトレーニングが出来るようになればいいのにと感じます。
TOEIC800をクリアすると、どんな雑誌でもすらすら読めるの?
内容を理解するという点では、かなりいけると思いますが、専門的な内容となると、分からない単語ばかりでサッパリ・・・ということになってしまうでしょう。日本語で考えても、物理とか化学の雑誌記事となると全然分からないということになると思いますが、それと一緒です。
それ以上に問題なのは読むスピードです。日常生活において必要に迫られて英語を読むという場合、スピードが重要です。
1ページ読むのに30分かかるといったことは現実的には読めないのと一緒です。日本語に置き換えてみると分かりますが、新聞は通勤時の電車のなかで読み終えるといったペースが普通ですよね。それと同じことが英語でも出来なければ、英語をツールとして活用することは出来ません。
結論:TOEIC800の実力
結論としては、TOEIC800というのは土台となる知識は積み上がっているけど、それを実践的に活用するには、まだまだ力不足というレベルです。
ビジネスで使うという意味では、英語を補足的に使うような環境であれば通用しますが、英語が公用語でネイティブとバリバリ、コミュニケーションをとる必要があるというような状況では、ちょっと厳しいでしょう。
ただし、実践力というのは知識量だけでは測れない部分があります。子供の頃から海外に住んでいて、英語を母国語のように話せるという日本人が、TOEICを受けると600ぐらいしか取れないということはザラにあります。
TOEICというテストでスコアをあげるための英語と、実際に外国人とコミュニケーションをとるための英語というのは、違いがあるということなのだと思います。
私自身、このことは留学していた時、強く感じました。
かといって、TOEICがダメというわけではありません。日本育ちの人間が、これから英語をマスターしようという場合、大量の知識をインプットしなければいけませんが、それが出来ればTOEICでもハイスコアを取得できるので、TOEICのスコアと実力は比例しますし、知識を身につける手段としてTOEICを目標にするというのは、とてもいい目安になります。
どちらかと言えば、TOEIC800というのは知識という面でも、まだまだ不足しているということなのでしょう。個人的には900を越えて、やっと英語を使えるようになるスタート地点に立てるのではという気がします。